映画「思い出のマーニー」は、2014年7月19日に公開され、スタジオジブリ制作で米林宏昌監督により長編アニメーションとして、映画化されました。
かたくなに心を閉ざした少女アンナが、海辺の村に住む少女マーニーとの交流を通じて心を開いていく様子が描かれています。
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・思い出のマーニー
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思い出のマーニーの作品紹介
「思い出のマーニー」は、魔女の少女が魔女になるための修行をしていく過程で様々な経験を積み成長していく姿が描かれたアニメ映画。
あらすじ
幼いころに孤児となったアンナは、養女として育てられている。内気で友達ができないアンナは、自分が目に見えない「魔法の輪」の外側にいるのだと感じており、母や祖母が自分を残して死んだことも憎んでいる。養母からは実の子のように思われていると感じていたのだが、養母がアンナの養育費を市から受給しており、それをアンナに隠していると知ると、アンナは養母の愛にまで疑問を感じるようになってしまう。無気力になったアンナは喘息まで患い、療養のために海辺の村で過ごすことになる。
村を訪れたアンナは、入江の畔に「これこそずっと自分が探していたものだ」と直感的に感じる古い無人の屋敷を見つける。”湿地屋敷”と呼ばれるその屋敷を、なぜかアンナは特別な存在だと感じ、この屋敷に住むことになる人は特別な人のはずだと夢見るようになる。屋敷は長いこと無人だったはずだが、屋敷に長く住むという不思議な少女マーニーとアンナは出会う。マーニーを「まさしく自分のような子」だと感じたアンナは、彼女と友達になり、悩んでいた養育費のことも打ち明けるようになる。アンナは、恵まれた子だと思っていたマーニーが孤独を感じていることも知り、やがて友情を深めた二人は永遠に友達でいる誓いを立てる。
ある日アンナは、マーニーが小さなころに風車小屋に閉じ込められそうになったことがあり、それからは風車小屋を恐れ続けていることを知る。その日の夕方にアンナが風車小屋を見にいくと、中にはすでにマーニーがいた。マーニーは勇敢になろうと思って風車小屋の二階に登ったが、怖くて梯子を降りられなくなったのだという。風雨の音に怯えたマーニーは、その後も動けず、日も暮れてしまい、疲れ果てた二人は風車小屋で寝てしまう。すると誰かがマーニーを迎えにきたような気配があり、アンナが目を覚ますと真っ暗な風車小屋にはアンナだけが取り残されていた。アンナは、初めてできた親友に裏切られたと激しく怒り、悲しんだが、アンナが湿地屋敷へ行くと、窓の内側にいるマーニーから突然の別れを告げられる。マーニーは部屋に閉じ込められており、明日になるとどこかに連れていかれるのだという。マーニーが、アンナが大好きだ、置き去りにするつもりはなかったと叫ぶと、アンナは、やはりマーニーは自分を大好きなのだと感じて彼女を許し、マーニーが大好きだ、絶対に忘れないと叫び返す。激しい雨が降り、窓の向こうにいるマーニーは見えなくなる。するとアンナには、まるで屋敷が最初から無人であったかのように見えた。
マーニーと別れたあとのアンナは、少しずつ人に心を開くようになり、湿地屋敷に引っ越してきたリンジー家の人々と友人になる。マーニーのことは自分が想像で作り上げた友達だと思うようになっていたが、アンナはリンジー家の少女から、アンナの”秘密の名前”を砂浜に書いたので見てほしいと言われる。アンナが見にいくと、そこには「マーニー」と書かれていた。少女は湿地屋敷でマーニーの日記を見つけており、引っ越してくる前にアンナが屋敷の門から出てくるところを見たことがあったので、日記を書いたのはアンナだと思い込んでいたのだ。不思議なことにマーニーの日記は50年も前のものだった。少女の母であるミセス・リンジーは、湿地屋敷のことを昔から知っている老婦人のギリーならば、すべての答えを知っているかもしれないという。
その後、アンナの養母が村を訪れ、アンナに養育費のことを打ち明ける。彼女はお金をもらっていることでアンナが傷つくかもしれないと恐れ、アンナには黙っていたのだという。アンナは大きな心の荷を降ろし、いつしか自分でも知らないうちに、母と祖母への憎しみが自分の心から消え去っていたことにも気づく。
後日、アンナたちが老婦人のギリーにマーニーの日記を見せると、彼女は湿地屋敷に住んでいたというマーニーの過去を語り始める。大人になったマーニーは結婚して娘をつくり、孫娘もできたが、マーニーの娘は交通事故で亡くなり、マーニーも孫娘を引き取ってからすぐに亡くなったのだという。その話を聞いたミセス・リンジーは、その孫娘とはアンナのことではないかと思いあたる。ギリーの話が、アンナの養母から聞かされていた、幼き日のアンナの話と一致したのだ。孤児院に入れられたアンナは湿地屋敷の写真を持っており、その写真から手を離そうとはしなかったという。
アンナはリンジー家のような大家族の子供ですら、時々「輪」の外側にいると感じていることに気づく。それは、近くに誰かがいるかどうかとは関係がなく、心の中の問題だったのだ。ミセス・リンジーは、雨の日にずぶ濡れで屋敷の中に入ってきたアンナを見て、こんな日に外にいたのかと驚く。するとアンナは、自分はもう「中」にいるのだと言って笑うのだった。
出演者、キャスト
杏奈(高月彩良)
マーニー(有村架純)
老家政婦:ばあや(吉行和子)
マーニーの父(TEAM NACS戸次重幸)
マーニーの母(甲斐田裕子)
養母:頼子(松嶋菜々子)
杏奈の主治医:山下医師(TEAM NACS大泉洋)
美術の先生(TEAM NACS森崎博之)
親戚夫妻:大岩清正(寺島進)
親戚夫妻:大岩セツ(根岸季衣)
赤い眼鏡の11才:彩香(杉咲花)
久子(黒木瞳)
十一(といち)(TEAM NACS安田顕)
町内会役員(TEAM NACS音尾琢真)
夫に先立たれた老婦人(森山良子)
マーニーの幼馴染:和彦
絵美里(石山蓮華)
思い出のマーニーのネタバレあらすじ
孤独な少女
幼い頃に両親と育ててくれた祖母を亡くした杏奈は、内気で自分の殻に閉じこもり、友達もなかなか作ることができませんでした。
養母の頼子に育てられていることに対し、感謝はしているものの、あることがきっかけで頼子と距離を置くようになっていきます。
そして自分を置いていなくなった両親や祖母のことを、許せないでいました。
彼女は、人の輪の中になかなか入ることができず、自分は孤独なんだと思い込むようになり、心を次第に病んでいき、その結果ひどい喘息を患ってしまいます。
幼い頃は表情豊かな少女でしたが、いつの間にか感情を表に出さなくなってしまった杏奈
頼子に事情を聴いた主治医の山下先生は、彼女には空気が綺麗で落ち着いた環境での療養が必要だと考え、彼の勧めで、杏奈は夏休みの間、頼子の親戚の大岩夫妻の家で過ごすことになりました。
古屋敷
杏奈は、大岩夫妻に歓迎されて、海辺の街で新しい生活が始まりました。
そこで彼女は街はずれの湿地の奥に古い屋敷を見つけます。
その屋敷は初めて見るはずなのに、なぜか既視感があり、懐かしさを感じました。
屋敷へ近づき、中を覗いてみると屋敷の中は荒れ果てていて、誰も住んでいないようでした。
杏奈はその屋敷のことが頭から離れなくなり、屋敷に住む金髪の少女が髪をとかしてもらっている夢を見るようになります。
後日、叔母さんのセツの気遣いから、杏奈は信子や街の同世代の女子たちと七夕祭りにいくことになりますが、信子のおせっかいな態度や物言いに次第に苛立ってしまい、喧嘩をして信子に暴言を吐いてしまいます。
焦った杏奈はその場から逃げ出し、例の気になっていた屋敷を訪れると、そこに夢の中でみた金髪の少女が現れました。
自分の名前はマーニーと自己紹介する金髪の少女と杏奈は、すぐに意気投合し、自分たちのことは二人だけの秘密にしようと誓い合います。
毎日、満潮の時間になると彼女に会いにいき、お互いのことを知るために質問しあうゲームなどをしていき、どんどん二人は仲良くなっていきました。
彼女の前では自分の感情を自然と表に出せる杏奈
そんな日々の中で、突然気を失ったり、気が付くとマーニーがその場から消えていたりと不思議なことが起こり始めます。
そして、彼女の誘いで、屋敷のパーティーへ杏奈が花売りの格好をして潜り込むことになりました。
華やかなパーティーで、マーニーの両親とも会い、彼女とダンスもして非現実的な体験をしていきます。
しかし、気が付くと杏奈は郵便局の前で倒れていました。
次の日に屋敷にいくと、改修工事が行われており、昨夜のパーティーが行われた痕跡すらありません。
日記
杏奈が屋敷の絵を描いているそばで、画家の老婦人・久子も同じように屋敷の絵を描いていました。
彼女は、昔屋敷に住んでいた少女と自分が昔友人であったことを明かし、その屋敷に新しい家族が東京から引っ越してくることを教えてくれました。
その日、改修工事中の屋敷に近づくと、マーニーのいた部屋から、小さな少女・彩香が顔を出し「あなた、マーニー?」と尋ねてきます。
その少女は屋敷の中を案内し、日記帳を渡して見せてくれました。
その日記は、杏奈とマーニーが過ごした思い出がつづられていて、どこか空想上の出来事だと思っていたので驚きが隠せません。
その日記は、マーニー自身が書いたものだったのです。
日記のページは、最後にあった日の出来事から千切られていて、現在の様子はわかりません。
別れ
数日後、スケッチを描く杏奈のもとへ、マーニーが会いに来ました。
久しぶりの再会で喜ぶ二人。
森の中で、キノコや花の採集して楽しく過ごします。
キノコが詳しくなった経緯で家族の話題になり、お互いの家族のことを打ち明けることになりました。
杏奈は、自分の養母が児童養育手当を受け取っている書類を見たときに、お金のために自分を育てているのではないかという不信感や孤独感でいっぱいな胸の内を明かします。
マーニーは、裕福な家庭で育ち一見幸せそうに見えますが、実態は親には放ったらかしにされ、使用人たちにひどいいじめをうけていることを打ち明けます。
そして、使用人がお仕置きにとサイロに閉じこめようとしたことから、トラウマでサイロが怖くて仕方ありません。
お互いに、自分の心の闇の部分を打ち明け、励まし合う二人
その後、トラウマを克服するために、二人はサイロへ向かいますが、マーニーは杏奈のことを幼なじみの「和彦」と呼び、様子がおかしくなります。
そして天気が荒れ始め、大雨になり、マーニーはいつのまにか杏奈を置いてどこかへいなくなってしまいました。
嵐の中で独り置いてけぼりにされたことで、杏奈は不安と怒りと悲しみを覚えます。
サイロで雨に打たれすぎて、身体を冷やしてしまい、熱を出して倒れた杏奈は、夢の中でマーニーと再会します。
マーニーは涙を浮かべながら置いていったことを謝り、杏奈は心の底から彼女を許すことが出来て二人は和解しました。
そして、マーニーは別れを告げて姿を消すのです。
思い出のマーニーの結末
彼女の生涯
後日、熱もすっかり治り、表情もすっきりしていた杏奈のもとへ、日記の千切られて無くなっていた残りのページと、一枚の絵を発見した彩香が会いにきました。
絵の裏には、「to Marnie from Hisako」というサインが書かれていて、これを見た杏奈は画家の久子さんが彼女について何か知っているのではないかと思い、会いにいきます。
久子さんは、つらい話になると前置きをして、知っているマーニーの生涯について語ってくれました。
裕福な屋敷で暮らすマーニーは一見幸せそうに見えますが、両親はいつも彼女のことを置いてきぼりにして出歩いてばかりでした。
そして、屋敷には意地悪な婆やと召使いしかおらず、彼女は子どもの頃から孤独な日々を送っていました。
彼女は幼なじみの和彦と結婚し、二人の間に娘の絵美里が生まれましたが、和彦が病気で亡くなってしまったことで、そのショックから身体を壊し、娘を全寮制の学校に預け、療養施設に入ってしまいます。
そのことが理由で娘とうまくいかなくなり、絵美里は男と家を出て行ってしまいます。
その後、孫娘もできましたが、娘夫婦は交通事故で亡くなってしまい、代わりにマーニーが自分が亡くなるまで、その孫娘を育てていたのでした。
真実
夏休みも終わりが近づき、養母の頼子が大岩夫妻のもとへ、杏奈を迎えにやってきました。
そして、養女として迎えた頃に、杏奈が大切にしていた屋敷の写真を見せます。
その屋敷が例の屋敷だとすぐに気づき、写真の裏を返すと、「私の大好きな家 マーニー」と書かれていました。
彼女が自分の祖母であったことが分かり、涙を流す杏奈。
頼子は、補助金を受け取っていたこを打ち明け、謝罪します。
マーニーと過ごした不思議な日々の中で成長した杏奈は、その事実を知っていましたが、受け入れて頼子の愛を信じることにしました。
以前よりも表情が明るくなった杏奈は、札幌へ帰る際、暴言を吐いてしまった信子に謝罪し、彩香と再会を約束します。
とっても幸せだと元気に話す杏奈は、久子さんに頼子のことをおばさんではなく、初めて母だと紹介し、素敵なお知らせがあるから手紙を今度書くと約束し帰っていくのでした。
思い出のマーニーの感想
心を閉ざしていた主人公の少女が、ひと夏の不思議な体験を経て成長する姿が描かれた本作。
本作の個人的な見どころとしては、演出や表現に注目が行きました。
まず、祖母との絆だけでなく、主人公の成長過程を、具体像として表現していたのがマーニーでした。
養母のことをおばさんと呼び、他人に本音を見せることが無くなっていた杏奈でしたが、大岩夫妻のもとで療養生活をしていく中で、心の傷が癒えていくのと並行して、マーニーの存在や記憶が薄れていきます。
孤独に生きてきた杏奈が、同じく孤独な運命を辿った祖母と自分を重ね合わせ、時を超えて心を通わせていく壮大な空想ドラマの中で、自分は本当は幸せで、愛されているのではないか?と考え始めていきます。
杏奈が孤独から徐々に解き放たれ始めていくにつれて、心の拠り所の象徴であったマーニーとの出来事や記憶を忘れてしまうわけですね。
彼女の成長とともに心の傷が癒されていき、それに伴ってマーニーとの別れが近づいていくという描かれ方がされていました。
幼い頃の祖母の記憶や、両親の葬儀の際に抱いていた人形など、数々の伏線が張られ、真実が明らかになる結末へ向かっていくストーリー展開と共に、このような何重にも張り巡らされた表現のされ方で迎える結末に感動する作品でした。
もともと1960年代に出版されたイギリスが舞台の原作でしたが、北海道を舞台にリメイクしたのも違和感がなく、今の時代の子ども達に勇気と希望を与える作品だと思います。
まとめ

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