2020年2月21日に全国で公開された映画「RED」
直木賞作家・島本理生さんによって、禁断の愛が描かれた恋愛小説「RED」が映画化され、公開となりました。
作中の性描写や、心情が衝撃的な内容で描かれているため、賛否両論が巻き起こった問題作です。
共感と反感、読者の視点それぞれで異なった印象や感想が生まれた話題作「RED」について、今回は原作をもとに、ご紹介したいと思います。
映画「RED(妻夫木聡)」のネタバレあらすじ
二歳の娘・翠を子にもつ村主塔子は友人の結婚式に女友達の矢沢と一緒に来ていました。
周りから見たら、旦那の稼ぎもよく、かわいい子供もいて、姑とも仲良くやっている彼女は、誰もが羨むような結婚生活を送る専業主婦です。
しかし、実際は翠を妊娠してから3年間セックスレスの夫婦関係、マザコンで家事を一切手伝わない夫・村主真と、その両親との同居、本来続けたかった仕事も続けさせてもらえず我慢することが多い毎日を過ごしていたのでした。
その結婚式で、塔子は学生時代のバイト先の会社の社長・鞍田秋彦と偶然顔をあわせます。
10年前、彼女は彼と不倫をしていて愛人関係にありましたが、彼が妻と離婚しなかったことで、自分が社会人になる機会にその愛人関係を終わらせた過去がありました。
塔子は、鞍田との飲み会に矢沢から誘われます。
その飲み会が解散すると、彼女は彼と一緒に二人きりでバーに行きました。
そして化粧室で彼に襲われてしまいます。
最初は抵抗していましたが、そんなに嫌がるならやめるかと彼に言われて、気持ちいいからやめないでと頼んでしまうのでした。
夫にはない情熱的な求めに対して、身体が反応してしまっていたのです。
相変わらず、夫と冷めた夫婦関係を続けている塔子に鞍田から連絡がきます。
大事な忘れ物を届けに行く、という彼の口車と運転する車に乗ってしまうのでした。
その後昼食を一緒にとった彼女は、帰りの車中で彼に内ももを触られて興奮してしまいます。
ホテルで服を脱がされて行為に及ぶところまでいきそうになるところでしたが、なんとかその先は踏みとどまります。
そんな様子に、彼女が普段我慢を重ねていることに気づき、自分の会社でまた働かないかと申し出ます。
仕事を再開したいと夫に相談しますが、いい返事がなかなかもらえない塔子でした。
結婚した時に、共働きの約束をしていた話もあったことにより苛立ちが募っていきます。
そして、夫の付き添いで参加したホームパーティーで、夫の同僚の女性に嫌がらせをうけたのをきっかけに、鞍田の復職の話を受けることにしたのです。
そんな中、自分の不注意で娘の翠にケガをさせてしまった塔子は、夫に責め立てられ、落ち込んでしまいます。
そのことで鞍田に電話で愚痴をこぼすと、彼は塔子のもとへタクシーで駆けつけてきました。
彼は君の方は大丈夫だったのか?と夫にはない優しい言葉を投げかけてくれます。
娘を預かってくれる自宅保育を紹介してもらい、復職の目途がたった塔子は、その件で鞍田と会うことになり、なぜ友人の結婚式に来ていたのか尋ねます。
彼は、その友人の女の子とはたまに遊んでいたと話すのでした。
その話を聞いて嫉妬の感情で溢れそうになった彼女は、復職の面接の時間だけ聞いてその場を立ち去ります。
面接の結果、復職が決まった塔子は、やり手だが女癖が悪いと評判の小鷹淳に目を付けられました。
歓迎会のあと、小鷹は彼女に、お前は童貞と家庭環境が悪いやつにもてる女だと言われます。
動揺する彼女に、小鷹は強引にキスをしました。
そんなずる賢い小鷹に対しても気を許し始める塔子なのでした。
そんな塔子の様子をみて、鞍田は自分の家に呼び、小鷹と何かあったのか尋ねます。
小鷹とのことを正直に打ち明けた彼女はとうとう、彼に身を委ねるのでした。
事が終わって、彼は一緒に旅行へ行く話を持ち掛けます。
村主家で温泉旅行の話がありましたが、家族旅行をキャンセルしてまで、会社の勉強会だという名目で彼との旅行に行くのでした。
二人で向かった旅行先の宿で、二人は激しく愛し合います。
鞍田に強く求められるにつれて、からだが抵抗できなくなっていきました。
塔子はとうとう感情が表に出て、彼にしがみついて「好きです。鞍田さん、好き」と言ってしまうのでした。
鞍田は塔子に契約社員じゃなく正社員になってくれないかと頼みます。
そして、クリスマスに会いに来て、自分となら違った生き方ができることを伝えます。
しかし、日常から逸脱しすぎることに抵抗のある彼女は反発します。
彼女の両親は、父親が他に女を作って離婚していました。
母親は、彼女に対して厳しく育て、塔子は無難で安定的な選択をしてきた人生でした。
そんな人生で、初めて日常から逸脱した相手が彼なのです。
反発で口論になった彼女に対して、最後に一回させてくれと頼み込んで、行為に至る二人。
どうしてもだめなのか?と違った生き方を促す彼に対して「じゃあ、愛してますか?」と質問で返す塔子。
彼は黙ります。
愛とは何なのか答えがでない鞍田でした。
二人はしばらく距離を置くことになります。
正社員となった塔子は、再び働き始めていて、小鷹と金沢への出張をすることになります。
仕事は終わると、小鷹との食事の場で、鞍田との関係に気づいている小鷹は、二人は別れたのか尋ねます。
彼女は別れたことを伝えます。
翌日、金沢の天候が悪化して雪のために帰りの飛行機が飛ばない知らせを受けました。
そのことで、彼女が夫の真へ電話すると電話の向こうの夫の様子がおかしいのです。
電話の後ろから女性の声がして、突然電話が切られました。
そのあとかかってきた電話で、なぜか逆切れする夫は塔子のほうこそ隠し事があるだろうとしつこく問いただしてきます。
終いには、クリスマスの夜どこに行っていたか聞いてきて、今すぐ帰ってこいと言い出す始末でした。
仕方なく、帰る旨を小鷹に伝えると、小鷹は塔子にキスをします。
夫にはない優しさで、本気で心配している鞍田は、業務用のファックスで所在地を聞いてきました。
返信したあと、小鷹は塔子を求めてきますが、小鷹の気持ちには答えられません。
逸脱して破滅するのが怖いと言うと、小鷹は、しっかりしている君が破滅するわけがないと言います。
愛は不安定なもので、一瞬でも本気になれればそれでいいと言う小鷹の言葉に呆然とする塔子でした。
そんなときに、突然呼び出し音が鳴り、そこには鞍田がいました。
なんと、10時間もかけて大雪の中、東京から車で駆けつけてきたのです。
金沢に到着したばかりの彼は疲れているようで、だいぶやつれていました。
塔子は車にのり、東京へ戻る車中、距離を置いたはずの彼をみて、本当の自分の気持ちに気づきます。
家を出る決意を固めようとしている彼女に、彼は、昔自分がなぜ離婚しなかったかを語ります。
そして、ずっと好きだったと言う態度とは裏腹に、意外にも彼女が離婚することに反対するのでした。
そこへ小鷹から、驚愕の真実を伝えるメールが届きます。
そのあと抱き合う二人。
家に戻った塔子は、相変わらず何も分かろうとしない夫と本音でぶつかって口論になり、娘を連れて家を出ます。
映画「RED(妻夫木聡)」の結末
小鷹から伝えられた真実とは鞍田の秘密についてでした。
実はガンが再発して、身体が病に侵されていたのです。
彼は入院する前に、どうしても塔子と会いたくてあの日フラフラになりながらも金沢まで来ていたのでした。
そして、ガンに侵された自分では先がわからないので、塔子と一緒になる選択ができなかったのです。
一方、しばらく時間を置いて、お互いに冷静になってから話し合う塔子と夫の真。
3人で暮らす提案をしてくる夫に彼女は驚きました。
しかし、姑によってこの提案は実現できなくなります。
マザコンの夫にうんざりした彼女は再び家を出ていきました。
別居から十数年後、塔子は離婚せず、夫の実家からは出て、真と娘の翠と3人での生活になっていました。
真は塔子宛に手紙で、厳しく育てられ母親だけが味方だったことや、そんな中塔子が初めて好きになった女性で、初めての恋人だったことを告白していました。
彼女はすっかりたくましくなり、吹っ切れた様子ですが、それとは対照的に、今度は思い悩んでいるのは成長した思春期の娘です。
自分が父の本当の娘ではないのではないかと誤解して、自殺未遂をしてしまう状態でした。
その誤解の原因は、塔子が娘を連れて家を出た、半年後までさかのぼります。
別居中の彼女がいつ離婚してもおかしくない状況の中、娘を連れて鞍田に会いに行きました。
治療を終えた彼と再会して3人で過ごす様子を眺めて、本当の親子のように感じる塔子。
しかし、娘のパパとママと一緒に食事に行きたいという一言で、夢から覚める鞍田と塔子なのでした。
映画「RED(妻夫木聡)」の感想
本作は、年齢や性別、既婚、未婚、子どもがいるかどうかなど読んだ人の境遇によって、大きく印象が変わる作品だと思います。
30代女性既婚子持ちの心情が細かく描写されてるため、共感する人もいれば、理解に苦しむ人もいるはずです。
命を削って、全力で愛と性を求める男女の性描写は官能小説のように刺激的で、センセーショナルな内容となっていました。
また、塔子だけでなく、登場する3人の男性それぞれの抱える問題や性格も細かく表現されているので、男性視点でも自分に当てはめて楽しめるフィクションになっています。
人の幸せってなんだろう?っと考えさせられる一作となっていますね。
いかがでしたでしょうか?
今回は映画「RED」のラスト結末は?ネタバレあらすじと感想もというテーマで、「RED」のご紹介をしました。