2008年にニューヨークを襲ったリーマン・ショックの被害者がここにも。不況が押し寄せたって、今までの刺激に満ちた日々も、贅沢な暮らしも諦めたくはありません。
実際に起こった事件を元に、ジェニファー・ロペスを中心とした、女たちによる女たちの映画の完成です。
本物のストリップ・クラブへようこそ。
ハスラーズは実話?どんな事件だったか
2008年のリーマン・ショック後、景気が悪化したニューヨークのストリップクラブで働く女性が、ウォール街で働く富裕層から数年に渡って大金を巻き上げたという事件がありました。
映画「ハスラーズ」は、実際に起こった事件をまとめた取材記事「The Hustlers at Scores」をもとに映画化されています。
よって、映画「ハスラーズ」は、実話がもとになった映画となります。
ハスラーズのネタバレあらすじ
幼いころ母に捨てられ、祖母に育てられたデスティニー(コンスタンス・ウー)は、大好きなおばあちゃんとの生活のために、ストリップ・クラブで働き始めました。
慣れない新人は思うように稼げないばかりか、少ない稼ぎから手数料やらなにやら余計に引かれても、何も言えず従います。
その日も沈んだ顔で店に出ていましたが、トップダンサーのラモーナ(ジェニファー・ロペス)のステージを見て、激しく憧れます。ラモーナのポールダンスは観客を魅了し、大金がステージを埋め尽くしていました。
屋上で休憩していたラモーナに話しかけ、意気投合し、二人で協力して稼いでみないかという話になりました。
二人は姉妹のように息もぴったりで、固定客をどんどん掴み、ステージに立たなくてもお金は増える一方です(もともとはおばあちゃんと暮らせて、あとは少しショッピングできればという小さな願いだったはずでしたが)。
一緒に食事をし、ショッピングをし、ラモーナの一人娘も紹介されて、二人は急速に親しい関係になっていきます。
そんなとき、潮時の合図のようにデスティニーは妊娠し、娘を出産し、クラブの仕事は辞めました。
時を同じくして、リーマン・ショック(2008.9 アメリカ リーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破たんしたことから、連鎖的に世界規模の金融危機に発展)が起こり、経済が冷え込みます。
娘の父親は出ていき、デスティニーはシングルマザーとして育てていくために仕事が必要になりますが、経験重視の販売の仕事などはことごとく断られ、仕事がありません。
仕方なくもう一度ストリップ・クラブを訪れますが、客は減り、店にもダンサーにも不況の波が押し寄せていました。ロシア人ばかりで見知った顔もいない中、ラモーナと再会します。
ラモーナは、経済危機を引き起こした張本人であるはずのウォール街の金融マンたちが、いまだに贅沢な暮らしをしていることを怒っていました。さらに男たちは、財布のひもは締めながら、個室でこれまで以上に過剰な性的サービスを求めたり(ロシア人が応じるためにエスカレート)、チップをごまかしたりしました。
なぜそんなことが許されるのか。
ラモーナはある計画を思いつきます。恋人が収監中で、なんとか弁護士費用を工面したいメルセデス(キキ・パーマー)と、ストリッパーであることが家族にばれて行くところのないアナベル(リリ・ラインハート)、そしてラモーナとデスティニーの4人は、危ない方法で大金を稼いでいきます。
その計画とは?彼女たちを待ち受けるものは?
ハスラーズのラスト結末
4人がかりでカモを見つけ、クラブに誘い出し、薬を飲ませ(合成麻薬)クレジットカードの限度額まで使わせました。カモにされた男たちは翌日その事実を知っても、ストリッパーのために使ったとは言えませんし、まさか自分が騙されたなんて認めたくありません。
その心理につけ込んだ計画でした(お金を返せと電話してくる者も中にはいましたが、「十分楽しんだでしょう」と言いくるめていました)。
見事にうまくいき、大金が手に入り始めました。
デスティニーは麻薬の配合も誘い出す男にも慎重ですが、ラモーナはしだいに大胆になり、手を広げようとして見知らぬ女性たちを仲間に引き込みました。
その年のクリスマス、ラモーナの高級マンションに家族連れで集まった女たちは、高価なプレゼントを交換し合いシャンパンで乾杯し、この幸せがずっと続きますようにと願いました(デスティニーのおばあちゃんとラモーナも意気投合しました)。
しかし、ほころび始めます。
過剰摂取させてしまった男性をデスティニーが病院に運びました。何度電話をしてもラモーナは出ませんでした。
疲れ果て、仕事用の露出過多の服のまま娘を学校に送り、帰宅するとおばあちゃんが亡くなっていました。デスティニーの限界です。
警察に助けを求め、すべてを話す男性が現れました(証拠の録音がありました)。保身のために、仲間入りしたばかりのひとりが警察に協力しました。
あっという間に4人は捕まり、それぞれに罰がくだされました。ラモーナは認めませんでしたが(それでも主犯格とみなされ一番重い罰です)、デスティニーは娘のために自供を選びました。
そして、それきりラモーナとデスティニーは別れたままです。
数年後、この事件の記事を書こうとしているリポーターのエリザベス(ジュリア・スタイルズ)のインタビューに答えていたデスティニーは、エリザベスがラモーナとも話したことを知り、ラモーナが自分をどのように言っていたのかが気になります。
自供した自分のことをどれほど憎んでいるのだろうと。しかしラモーナは、デスティニーの写真を今も財布に入れて大切にしていました(デスティニー号泣です)。
ハスラーズの感想
リーマン・ショックはさておき、男性が支配する世界で、自分の家族を守りたい、アメリカン・ドリームも叶えたい、そんな女性が足掻くお話でしょうか。
ここに描かれている男性たちは因果応報でしかないけれど、いずれにしても犯罪で、同情はできませんでした。「まじめに働いても生活が苦しい」なんてラモーナは言っていましたが、まじめも苦しいも、どちらも一般的ではありません。
50歳のジェニファー・ロペスが、見事な筋力、身体能力、スタイルを見せつけていることが、最大の見どころでした。コンスタンス・ウーも、これから楽しみです。